1 はじめに

三角関数は数学の中でも特に重要な分野であり、様々な分野で応用されています。角度に対して三角関数が変化する性質は、特に初学者にとって理解しにくい部分です。本記事では、次の三つの公式について説明します。

\sin{(-\theta)} = -\sin{\theta} \tag{1}

\cos{(-\theta)} = \cos{\theta} \tag{2}

\tan{(-\theta)} = -\tan{\theta} \tag{3}

\theta > 0 とすると、これらは負の角度に関する三角関数の性質です。

2 各公式の特徴

  1. \sin{(-\theta)} = -\sin{\theta}:
    • サイン(sin)では、-\theta の場合、その値が反転します。つまり、角度が \theta のときのサインの値が \frac{1}{2} であれば、角度が -\theta のときのサインは -\frac{1}{2} という値をとります。
  2. \cos{(-\theta)} = \cos{\theta}:
    • コサイン(cos)は -\theta の角度の場合でも、値が変わりません。角度が -\theta のときのコサインは、角度が \theta のときのコサインと同じ値です。
  3. \tan{(-\theta)} = -\tan{\theta}:
    • タンジェント(tan)はサインと同様に、-\theta の場合はその値が反転します。

3 公式の使い方練習

では、具体的な例を使って、公式の使い方を練習してみましょう。

3.1 基本の計算

Exercise 1 \theta = 30^\circ のとき、\sin (-\theta) の値を求めましょう。

Step 1: \sin の中のマイナスを消す

Equation 1 より、

\begin{aligned} \sin (-\theta) &= - \sin \theta\\ &= -\sin 30^\circ. \end{aligned}

Step 2: \sin 30^\circ の値を求める

ここで、\sin 30^\circ = \frac{1}{2} ですが、「何故?」と思われた方は、三角関数の定義 を確認してください。

Step 3: \sin 30^\circ の値を代入する

以上より、 \sin (-\theta) = -\sin 30^\circ = - \frac{1}{2}

であることがわかります。よって答えは -\frac{1}{2} です。

Exercise 2 \theta = 45^\circ のとき、\cos (-\theta) の値を求めましょう。

Step 1: \cos の中のマイナスを消す

\cos (-\theta) を求めたいので、Equation 2 を使います。

\begin{aligned} \cos (-\theta) &= \cos \theta\\ &= \cos 45^\circ \end{aligned}

Step 2: \cos 45^\circ の値を求める

\cos 45^\circ = \frac{1}{\sqrt{2}} です。これも三角関数の定義 を使って調べられます。

Step 3: \cos 45^\circ の値を代入する

以上より、 \cos (-\theta) = \cos 45^\circ = \frac{1}{\sqrt 2}.

Step 4: 分母の有理化

しかしながら、分母に \sqrt 2 のような無理数 (rational number) が含まれるときは、分母の有理化 (rationalising the denominator) を行います。\sqrt 2 はその定義から、2つ掛けて 2 になる数ですので、分母分子に \sqrt 2 を掛ければ、分母を有理化できそうです:

\begin{aligned} \frac{1}{\sqrt 2} &= \frac{1 \times \sqrt 2}{\sqrt 2 \times \sqrt 2}\\ &= \frac{\sqrt 2}{2}. \end{aligned}

したがって答えは \frac{\sqrt 2}{2} です。

Exercise 3 \theta = 60^\circ のとき、\tan (-\theta) の値を求めましょう。

Step 1: \tan の中のマイナスを消す

Exercise 1Exercise 2 と同様、マイナスの符号を消していきます。

\tan (-\theta) = - \tan \theta = - \tan 60^\circ.

Step 2: \tan 60^\circ の値を求める

次に \tan 60^\circ の値を求めましょう。三角関数の定義より、 \tan 60^\circ = \sqrt 3 です。

Step 3: \tan 60^\circ の値を代入する

したがって、\tan (-\theta) = - \tan 60^\circ = - \sqrt 3.

4 公式を使うときの注意

今回紹介した公式において、サインとタンジェントでは変形後にマイナスの符号が残りますが、コサインではマイナスの符号が残りません。すべての三角関数が同じルールに従うわけではないことに注意してください。

また初学者の方、特に数学が苦手な方は公式を丸暗記してしまう傾向がありますが、公式を理解せずに暗記することはあまりお勧めしません。公式の数が増えるとそれだけ負担ですし、応用力も身につきません。三角関数の公式は簡単な手順で導出できるものが多いですので、公式の証明を確認しておくとよいでしょう。

5 今後の学習のコツ

  • 図を描く: 今回、三角関数の値を計算する際に三角関数の定義を多用しました。この定義は三角関数における基礎となりますので、「よく知らない」という方は、ぜひ復習してみてください。
  • 練習問題: 公式の理解を深めるためには、継続して問題を解くことをお勧めします。