1 数学の発想力がない、と感じたときにどうするか
「自分には数学の発想力がない!」。私は数学の家庭教師・個別指導をやっていて、このような悩みに直面している生徒さんに出会います。
- 以前解いた問題と同じ問題ならともかく、少し違う問題だと何から始めればいいかわからない。
- 問題の解答は理解できるけれど、いざ自分でやると解けない。
こういった数学の発想力の悩みをもっていても、大丈夫です。ここでは、難しい数学の問題を乗り越えるために効果的な方法をご紹介します。
2 数学の発想力を鍛える方法
2.1 解答に至る思考過程を理解する
私が家庭教師として思うことは、数学の問題を解く際の「解答に至る思考過程」を理解することが非常に重要であるということです。
2.1.1 「数学の発想力」と、「数学の解答を理解する能力」は異なる
「解答に至る思考過程」とは何かを理解するために、まずは「数学の発想力」と、「数学の解答を理解する能力」とは別のスキルであることを理解しましょう。
例えば、「解答は理解できるのに、なぜ自分で発想できないのか?」このような悩みをもっている方もいらっしゃると思います。
このような悩みをお持ちの方に知っておいていただきたいことは、数学の問題集の解答はあくまでも「問題に対する解答」であって、その解答を発想した思考過程ではないんです。
これ、とても重要です。
いくら問題集の解答を見ても、そこに書いてあることは解答そのものであり、その解答を書くまでに思考した過程ではありません。発想に至る思考過程が書いていないのですから、解答を見て理解するだけでは、発想力が鍛えられるわけではないんです。
これ自体は当然のことだと思います。問題集にもよりますが、問題集の役割は基本的に問題とそれに対する解答の提示だと思います。この意味で、問題集自体はきちんとその役割を果たしています。
私が言いたいことは、数学の発想力を鍛えるためには、問題を解いて解答を理解するだけでは足りないということです。「数学の発想力」と、「数学の解答を理解する能力」とは別のスキルであることを、まずは意識してみてください。
2.1.2 「数学の発想力」は「解答に至る思考過程」を理解して鍛える
解答を理解するだけでは、数学の発想力が見につくわけではないことを理解しました。では、発想力はどのようにして鍛えればよいのでしょうか?
この疑問に対する答えはシンプルです。解答を発想するまでの思考の過程をひたすら見ればよいわけです。この思考の過程のことを、この記事では「解答に至る思考過程」と呼ぶことにします。
「解答に至る思考過程」を効率的に知るためには、私は適切な家庭教師や1対1の個別指導を利用することが、一番効率的だと思います。すでに発想の過程を知っている人に教えてもらえば、それほど苦労せずに発想の過程を知ることができます。
自分で問題を解いて答え合わせをし、「どうすれば次にその解き方を発想できるのか」を毎回自分で考えることもできまが、自分で毎回発想の過程を考えることになるので大変です。適切な家庭教師のサポートを受けることで、効率よく発想の過程を学ぶことができます。
最初は「そんな思考をすることは難しい」と思うかもしれませんが、大丈夫です。ごく稀な場合を除き、発想力は基本的に「経験」で鍛えることができます。最初は思いつかなかった発想であっても、「解答に至る思考過程」を何度も経験するうちに、「当たり前の発想」になってきます。
しっかり腰を据えて、「なぜそのような解答に至ったのか」を考える習慣をつけていきましょう。
2.2 解答の各ステップを理解する
Section 2.1 では「解答に至る思考過程」に注目しましたが、いうまでもなく解答自体を理解することも発想力を鍛えるために必須です。
解答で理解できない部分があれば、何か知識が足りないません。そして知識がなければ発想もありません。
解答はステップに分解することができます。各ステップで「何を行っているのか」、「なぜ行っているか」を自問してみてください。わからなければ何か知識が抜けています。抜けている知識を補充して行けば、自然と発想につながってきます。
ただ公式や手順を暗記するのではなく、「なぜその公式を使ったのか」、「なぜそのような手順を行ったのか」に焦点を当ててみてください。
2.3 問題の視覚化・実験を行う
発想に役立つ、ちょっとしたテクニックもご紹介しておきます。
時には問題を視覚化してみると、問題を解くための手順がわかりやすくなります。
文章問題が苦手であれば、文章中の重要そうなところに「丸」や「下線」で印をつける練習をしてみてください。文章問題では文章を数式に変換していく必要があります。解けないときは、印をつけた部分が全て数式に変換できているかをチェックしてみましょう。変換できていない部分があれば、たぶん必要な情報をまだ使えていません。
図や表を使って問題を視覚化してみることも大事です。視覚化は情報をまとめるための強力な方法です。視覚化してみることで、問題の特徴が見えてくることがあります。
問題に沿って実際に実験してみることもおすすめです。数列や確率などの分野では特に効果的な手法です。問題文を眺めているだけでは進まないので、問題文の指示に沿って実際にその手順を実行し、結果を書き出してみてください。その結果から問題を解くためのヒントが得られることがあります。
こういった地道な作業を自然と行えるようになると、問題を解くための発想のヒントを得られるでしょう。
2.4 練習こそ全て
これまで紹介したことを、自然にできるようになりましょう。ご紹介した内容はどれも地道な努力が必要です。中には「面倒だな」と思う方もいるかもしれません。
でも繰り返し練習することで、最初は面倒だったことも自然とできるようになります。要は、新しく知った発想や、地道な作業を「当たり前」にしていくことが大事です。
地道な努力を続けることで、新しい問題にも取り組むことのできる発想が身につきます。
2.5 家庭教師のサポート
数学の発想は一朝一夕では見につきません。私のような家庭教師のサポートを利用することを躊躇しないでください。家庭教師などを利用することで、発想のためのアドバイスだけではなく、自分一人では難しい、他者への思考過程の説明を行うこともできます。
相手に対して自分の思考過程を説明することで、自分自身の理解も明確化できる上、異なった視点からの新たなアプローチも知ることができるかもしれません。
3 まとめ
数学で苦労することは、いたって普通です。大切なことは、普段から「何故この方法を行ったのか」といった自問を地道に行い、解決していくことです。
解答に至る思考過程、解答の各ステップの理解、問題の視覚化や実験、そして練習を繰り返すことで、様々な発想を「自分にとって自然なこと」にしていきましょう。