1 海外の数学カリキュラムにおけるつまずきの原因

海外のカリキュラムで学ぶ数学の内容は簡単だ、と耳にすることもありますが、実際にはどうなのでしょうか?お子様がインターナショナルスクールなど海外のカリキュラムで学ぶmaths(数学)に困難を感じている場合、学習内容や難易度について確認してみることが大切です。

確かに、日本の教育システムと比べると、海外の数学カリキュラムは比較的シンプルな内容を扱う場合もあります。しかし、カリキュラムによっては非常に抽象的な概念を扱うこともあり、それが理解を難しくする要因となることがあります。

あるテキストでは図形(geometry)についての非常に抽象的な概念を早い段階で学びます。日本では大学で習うような考え方も含まれており、その分野がわからないままとなってしまうこともありえます。日本の学校では内容を理解していない場合でも留年することは少ないですが、インターナショナルスクールでは学習内容を理解できず留年してしまうこともあります。

抽象的な内容であっても、順を追って説明すれば決して理解できないものではありません。また理解してしまえば、今後のmathsの学習において大きな力にもなります。しかし、お子様が内容の理解に困難を感じているのであれば、適切な学習サポートが必要となるでしょう。

また転校や編入などでカリキュラムがそれまでものとは大きく変わった場合も、学習に困難を感じるかもしれません。Mathsは「新しい内容を理解するために、以前の学習内容が必要」となることが良くあります。元々mathsが得意であっても、必要な知識や考え方を知らないために、学習につまづいてしまう可能性があります。

他にも、カリキュラムによってはかなり難しい内容を学習している場合もあります。日本のカリキュラムと比べて大幅に早い時期に高度な内容を学ぶため、相応の知識が必要になります。

2 つまづきの原因を探るためのチェックポイント

いずれにしても、学習に困難を感じた場合はその原因について探ることが重要です。多えば以下の方法により原因を検討することができます:

  1. 現在学習中の分野について、様々な用語の定義(definition)をなんとなく説明できるか?
  2. 公式(formula)や定理(theorem)を理解しているか?
  3. 基本的な問題を解くことができるか?
  4. 応用問題を解くことができるか?

1. 用語の定義(definition)を説明できるか

Mathsは実のところ覚えることが多いです。単に丸暗記するというより、意味を理解して覚えているかが重要です。覚える必要のある最たるものが定義(definition)です。Mathsでわからないことがあれば、しばしば定義に戻ります。定義は「それが何であるかの説明」であり、その用語を他の用語や概念から区別することができます。これがわからないと、そもそも問題の意味が理解できなかったり、問題について考えることができなくなります。

定義を一言一句正確に覚える必要はありませんが、例などを用いてその用語を説明できるかどうかを確認することが大事です。まずはテキストの用語をしっかり理解しているかを確認してみましょう。

2. 公式(formula)や定理(theorem)を理解しているか?

Mathsの学習では公式や(formula)定理(theorem)を順に理解し覚えていきます。こうした「ツール」を使うことで、様々な問題に取り組むことが可能になります。大事なことは定義と同様、意味を理解することです。公式や定理の成り立つ理由を知っておく、証明(proof)を理解しておくことで、公式や定理の使い方、いつ使うことができるか、そしてその分野における考え方といった実に様々なことが学べます。これらを知っておくことは、応用的な問題への準備にもつながります。

3. 基本的な問題を解くことができるか?

基本的な問題はその分野の重要事項を理解していれば解くことができます。逆にある程度理解ができていないと、基本的な問題を解くことも困難です。基本的な問題が解けない場合は、(1)や(2)に戻って用語の定義や公式、定理を確認してみましょう。また基本的な問題を解くことによって、定義や公式、定理の使い方がわかることもしばしばです。

(1)と(2)が終わってから(3)の基本問題を解くというよりは、(1)と(2)を確認しながら(3)を進めるというように、(1)、(2)、(3)の間を行き来することをおすすめします。

4. 応用問題を解くことができるか

基本問題をだいたい問題なく解けているのであれば、その分野の理解自体は大丈夫です。次は応用問題が解けるかどうか確認してみましょう。応用問題は基本事項を組み合わせながら解いていきます。ベースにあるのは基本問題ですので、(3)で基本問題が解けていることを確認するようにしてください。基本問題が解けていない状況で、応用問題を解くことはだいたいの場合あまりおすすめできません。基本問題がある程度解けていることをしっかり確認してください。

応用問題を解くことが難しい場合は、基本的な問題の理解が足りない、問題を解くためのアプローチの仕方に慣れていない、また関連分野の理解が足りない、といった原因が考えられます。原因は問題を解く際につまった箇所を確認したり、適切な問いかけを行うことで見つけることができます。地道に進めることが一番の近道です。

3 まとめ

インターナショナルスクールなど海外の数学カリキュラムでつまづいたときの、つまづきの原因を探る方法をご紹介しました。

学習につまった原因を探るためにはコミュニケーションが重要です。会話も重要ですが、必ずしも会話である必要はありません。問題を解いたノートの様子などからも原因を探り、適切なサポートを考えることは可能です。お子様だけで原因を探ることは難しいですので、コミュニケーションを重視してください。

最後になりますが、お子様のmathsの勉強についてのお悩みや疑問点がある場合は、お気軽にご相談ください。一緒に考えれば、新しい視点や解決策が見えてくるものです。一歩踏み出すことで、お子様の自信につながり、更なる成長へと繋げられると思います。