数学が苦手というと、多くの方が共感することかもしれませんが、インターナショナルスクールではその苦手克服がより困難になる可能性があります。英語での数学用語や探求型の授業スタイルが、理解を難しくする要因となることがあります。このような独特の困難さを克服するためには、まず何が障害なのかを知ることが重要です。この記事では、以下の4つの具体的なポイントを挙げ、それに基づいた対策を提案します。
- 英語での数学用語・出題
- 繰り返し練習の不足
- 難解な学習内容
- 探求型の授業や課題
(探求型の授業や課題は数学以外の科目でも似たアプローチになるので、この記事では解説していません)。
1 英語での数学用語・出題に慣れる
インターナショナルスクールの授業は英語で行われることが多いと思います。ただでさえ難しい数学用語や数学独自の表現を英語で学ぶので、相応の英語能力がなければ、そもそも説明や問題の意味を理解できません。英語と数学、両方の壁を乗り越える必要があります。
インターナショナルスクールに通われている方は、英語は得意、という方も少なくないでしょう。しかし、数学では日常的には使わない単語や言い回しが必要であり、一般的な英語能力だけでは不十分です。そして、数学用語としての英単語や数学独特の英語表現を知らなければ、たとえ数学が得意だとしても、良い成績をとることは難しいでしょう。
1.1 すでに知っている数学の分野を英語で学習する
英語を使った数学学習に困難を感じる場合は、「すでに知っている数学の分野を英語で学習する」ことをお勧めします。学校の授業だけでは復習が足りない場合、動画を使って学習をしてみましょう。テキストで学習してもよいのですが、英語は”音”が重要ですから、最初は動画がお勧めです。動画で学習する際には、以下のポイントをチェックしておきましょう。
- 足し算や引き算など数学の内容としてはすでに知っていることを扱っている
- 英語字幕を表示する
- とにかく多くの動画を見る
数式は基本的に世界共通です。英語の動画であっても書かれている数式を見れば、ある程度内容を理解できます。またすでに知っている内容であれば、比較的簡単に動画の内容を理解することができます。動画を見ながら数学用語の英語表現や説明の際に使われる英語のフレーズなどを確認してください。
英語字幕を表示することも重要です。個人の経験談ですが、英語の音声と文字を同時に視聴することにより、音と英単語・フレーズが関連付けられ、リスニング力の向上が期待できます。
やはり量も重要です。数学用語だけでも数多くありますから、とにかくいろいろな数学の分野の動画を多く見ることにより、知っている単語の量や表現の方法を知っていきましょう。
1.2 質問したいことについてロールプレイをする
動画の視聴は一方向的な伝達方法ですから、動画の内容に対して質問することは難しい場合があります。そうであっても動画で気になった点があれば、「もし質問するとすれば、こういう風に聞いてみよう」、と一人でロールプレイをしてみましょう。英語を使いこなすためには動画の視聴やテキストを読むなどの”インプット”だけではなく、自分で話したり書いたりするなどの”アウトプット”も大事です。質問をする人の役になりきって、ロールプレイをしてみましょう。わざわざ文章に書かずに声に出せば良いと思います。
もちろん、学校の先生に質問できるのであれば、積極的に聞いてみてもよいかもしれません。数学用語や数学独自の表現を使いこなすには、学んだ数学用語や表現を、どんどん使うことが重要です。
2 毎日の繰り返し練習
2.1 計算や基本問題を繰り返し練習する
探求型の授業や課題が主な場合、単純な繰り返し練習が不足している場合もあるかもしれません。特に、数学は基本的な計算スキルや解法を習得することが不可欠です。証明や応用問題を解くことも大切ですが、基礎となる計算や公式の理解がないと、応用問題への対応は難しくなります。探求型の課題であっても、あくまでも基礎的な知識や理解が不可欠です。
基本的な数学問題を解くことが苦手と感じる場合は、定期的に基礎的な問題を解く時間を設けることが重要です。たとえば、少しの時間でも良いので、毎日、足し算や引き算、方程式の解法、幾何学の基本的な定理の使い方など、自分が学習した分野や、今習っている分野の基本を、反復練習してみましょう。さらに、数学の公式をただ暗記するのではなく、実際に繰り返し使ってみることで、理解を深めることができます。
インターナショナルスクールで使う海外のテキストは、かなり分厚いものも多く、最初は圧倒されることも多いかもしれません。またテキストが厚く内容が多いことは良いことである一方、最初はどこから手を付ければよいか、見通しが立ちにくい場合もあります。日本の薄い計算用の問題集のような、簡単な問題に特化した問題集を使って基本を確認しておくことも良いでしょう。
また数学に対する不安や苦手意識を克服するためには、単に計算を行うだけではなく、様々な訓練を行うことも効果的です。問題を視覚的に理解できる図を描く練習や、他の人に説明したりすることで、自信を持って数学に取り組むことができるようになります。
2.2 数学の用語の定義を確認する
計算だけではなく、数学の用語の定義 (definition) が説明できるか、定期的に確認しましょう。数学では用語の定義が出発点となります。定義とは、“それが何であるかをはっきりと定めた説明のこと”、です。数学ではわからなくなったら、出発点である定義に戻って考えます。定義の理解があいまいなままでは、どこから問題に取り組めばよいかわからず、そもそもスタートすることすら難しくなります。定義を理解してスタート地点をはっきりとさせ、問題に取り組みましょう。
3 難解な学習内容への適切なサポート
数学を苦手と感じる理由が、インターナショナルスクールでの高難易度の学習内容にある場合も考えられます。確かにインターナショナルスクールに通う方のチュータリングを行っていると、「単純に問題の難易度としては日本の学校の数学の方が難しい」、と感じることもあります。しかし、カリキュラムによっては、大学レベルの数学のテーマをかなり本格的に学ぶ学校もあります。数学の抽象的な考え方や多くの定理が次々と導入され、基本的な理解ができる前に次の内容に進んでしまえば、基礎的な理解が不足している生徒にとっては、大きな壁となります。その結果、「内容をほとんど理解できない」、となってしまうわけです。
数学は積み重ねが大事です。このような難易度の高いカリキュラムであっても、適切なサポートを受けながら一つ一つ学んでいけば、決して理解できない内容ではありません。例えば適切な個別指導を受けることで、難解な概念も一つ一つ理解することができます。深い理解を伴ったチューターであれば、生徒の方それぞれの理解度に合わせて説明を調整したり、理解度の確認を行い、追加で説明するなど、様々な手助けをすることが可能です。
しかし、そういったサポートがなければ、挫折してしまうこともあるでしょう。ですので、生徒の方自身がサポートを積極的に利用し、継続して学ぶことが重要です。このようなアプローチにより、難しい課題を乗り越え、数学に対する自信を高めることができるでしょう。
4 まとめ
この記事ではインターナショナルスクールにおける数学への苦手を克服するためのコツについて、いくつかの側面から解説しました。大事なことは、学習を続けること、そして自分に合った学習方法を見つけることです。しっかりと腰を据えて、自分に合った学習方法を探していきましょう。そして継続的に学習を行いましょう。
数学でわからないことがあれば、わかっている人に聞くことが効率的です。一人で考えることも大事ですが、一方でちょっとしたヒントをもらえば一気に理解が進む場合もあります。何がわからないかすらわからなくなってしまった場合でも大丈夫です。適切なチューターに教われば、どこが苦手なのかを教えてくれたり、あなたにあった学習の方針を考えてくれるでしょう。
また数学にはある程度典型的な解き方というものがあります。「このタイプの問題だと、こう解くよね」、という解き方です。そうした解き方を教われば、きっと学習を進めやすくなるでしょう。
エデケルでは日本のカリキュラムだけではなく、インターや留学のための英語を使った数学 (Math) の学習に対応しています。一人一人にあったオーダーメイドの学習プランやサポートを提供します。ご興味があれば、お気軽にお問い合わせください。